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斬新なアイデアを持った技術者よ、
“ゼロイチ祭り”に集え!

2018年2月に開催されるヒロセ社内のイベント「ゼロイチ祭り」。30代前半の若手技術者が取り仕切るこの企画は、チャレンジ精神を持った技術者にその機会を与える“アイデアコンテスト”の場として開催される、社内初の試みとなるイベントだ。企画から運営まで初めてのことばかりで手探りの状態が続いているが、メンバーは仕事の合間を縫ってイベントの成功を信じ、日々邁進している。そんなゼロイチ祭りの概要とともに、どんなイベントを目指しているのかについて、メンバーたちに聞いた。

まず「ゼロイチ祭り」についてお聞かせください。
ゼロイチって何でしょうか。

吉沢 : ゼロイチとは “ゼロからイチにする”という意味で、世の中にないものや我々が持っていない製品を創り出していこうという意図が込められています。「10」が製品としての完成形だとすると、そのきっかけとなる「1」を生み出す機会を作りたい。そのアイデアをみんなで発表し合う場が「ゼロイチ祭り」なのです。実は、3年に1度、お客さまをご招待してプライベートショーを開催しているのですが、どうしても開催の年はショーに注力してしまいがち。逆に開催のない年だからこそ、新製品のタネを生むチャンスの期間です。技術者が持つ意欲を継続的に喚起する意味も含め、全社的なイベントにしていきたいという意向があります。

長谷川 : 「付箋」は、接着力の強い接着剤を開発するプロセスにおいて、失敗したものの中から生まれた、という誕生秘話はご存知の方も多いと思います。まさに、失敗のなかからアイデアが出てくることもあるわけで、突拍子もないアイデアでもいいから、どんどん失敗していこうというところも、このイベントを開催する意図の1つ。失敗を恐れずにどんどんチャレンジしていく風土を作りたいという思いが当初企画した技術本部長にもあったと聞いています。

生田 : 30代が主役となって製品開発を行うことも多く、比較的若手が活躍している会社だと思っています。だだし、利益が期待できるかどうか、市場規模はどのくらいあるのか、といったことを検討したうえで、開発着手の判断をするのが通常です。そんな中で、技術的に難しい、売れるかわからない、お客さまに受け入れてもらえるか未知数、そんなアイデアを試す場がこれまでなかなかありませんでした。設計のアイデアはあるのに一歩が踏み出せない、ということを解消できる場として企画されたと解釈しています。

社歴的には10年前後の若手の方々ですが、
このプロジェクトに参加するきっかけについて教えてください。

長谷川 : 私だけ立候補した形で、あとは事業所から選ばれたエリートたちです(笑)。私に関していえば、こういう企画があってやってくれる人を探していると偶然誘われたのがきっかけです。実は、もともと他の部署の設計にも興味を持っていましたが、現状の目標では、当然ですが所属する部署の売上達成への貢献が求められます。でも、目標からずれたら描きたい絵がまったく描けないというのは残念だなと以前から感じていたこともあり、これはいい企画だと思いました。他のメンバーについては、私も含めて技術本部に属しており、自動車事業部や産機事業部、SB事業部など各事業部から若手に声がかかったようです。

生田 : 私の場合は、上長から「やってみないか」というお話をいただきました。とはいえ、その申し出を受ける前提で当初から話が進んでおり、「嫌だったら言ってくれ」と。そもそも「ゼロイチ祭りって何?」というところからの説明だったのですが、話を聞いているうちに是非やってみたいと思ったのです。もともと“何かにチャレンジしたい”という思いはずっと持っていました。

沖田 : 私は上長から「もう決まっているから」と有無を言わさぬ感じで(笑)。でもゼロイチ祭りについては以前から聞き及んでおり、何かアイデアを出したいと思っていたのです。上長からの話も、それほど違和感はありませんでした。ただ、まさか運営側になると思っていなかったので。実際には運営側からでもアイデアは出せるため、ぜひ面白い企画を練ってエントリーしたいと思っています。

吉沢 : 私も上長からご指名をいただきました。同じ事業部に若手は私も含めて何人もいますが、上長が決めたというよりも、そもそも企画した本部長のほうからある程度メンバーのピックアップがあったようです。詳しい経緯はわかっていないのですが、お話を伺ってみて単純に面白そうだと思ったので参加しました。

春日 : まあ上長から打診があったのは、他の3人と同じですが、最初は正直お断りしたいと思っていました(笑)。ヒロセは売上の99%以上がコネクタという専業メーカーにあって、私がいる部署はセンサーを取り扱っている新規事業の部署。本質的には、普段の仕事から“ゼロイチ祭り”をやっているようなものなのです。そんな全社をあげて賑やかなイベントを開催するのであれば、まずはうちの部署を賑やかにして欲しいと(笑)。でも、新しいことをやっていい、という風潮が全社的に広がることはとってもいいことですし、今は頑張っていこうと意欲満々です。

ゼロイチ祭りはどのように進められているのでしょうか。

長谷川 : 実際には、この企画の話があったときから、進め方やアイデア募集要項など、何の縛りのないままスタートしたプロジェクトです。そこで、当初は頻繁にメンバーと会を持ち、どう進めていくのかを決めていきました。現状は、すでに社内の人からアイデアをエントリーしてもらっているところで、2018年2月には横浜センターのなかでリアルイベントを開催予定です。それまでに寄せられたアイデアをまとめ、イベント当日に会場で審査していくという流れが今のところ有力です。エントリー可能なアイデアについては、正直何でもアリの状態にしており、コネクタに関連したアイデアでなくてもまったく問題ありません。

沖田 : 現状すでに募集は開始していて、9月末には締め切りとなっています(取材時2017年8月)。今はまだエントリー数が少ない状況ですが、個人や各課の動きを見ていると、おそらく最終的には30~40ぐらいのアイデアは出てきそうな気配です。ただ、まだ様子見の方が多いようなので、何か盛り上げる施策を考える必要があると考えています。入社2年目ぐらいの若手が出すクレイジーなアイデアなども、我々としては期待しているところです(笑)

生田 : エントリーシートには、アイデア例として「複数のロボットがヒロセのコネクタでつながり、合体して巨大ロボになる」というようなネタを出しましたが、そんなアイデアでもいいんです(笑)。現状は、盛り上げるための策としてはポスター制作ぐらいしか行っていません。これまでは具体的な予算が不明だったので手元でできることしかやっていなかったというのが正直なところ。今は予算を頂きましたので、何か素晴らしいアイデアには賞品を出すとか、そういうことはこれから考えていきたいですね。受賞したときに誇りに感じてもらうような。アイデアですか?「金色の机」を作って、遠くから見ても“あの人優勝したんだ”みたいなことがわかるとか(笑)。まあこれから相談していきます。

どういうイベントにしたいとお考えですか。

長谷川 : 新規の事業を立ち上げるきっかけになったり、新しいサービスや製品を作ったりといったことが、ゼロイチ祭りを通じて継続的に考える機会になればと考えています。また今回のイベントのように、我々技術者が実現したいことを後押ししてもらえるようなイベントを継続的に開催してもらえるよう、会社にも働きかけていきたいと考えています。

生田 : 今までにない、技術者を評価する新しい指標のきっかけになればと考えています。例えば、決まった通りに開発するだけで製品が売れたら、その人は素晴らしい技術者かというと、そうではないと思うんです。逆に、新しいことにチャレンジして結果的に売れないものを作ると、失敗したダメな技術者なのかというと、それも違う気がしています。この試みを新たな評価の場として見てもらえれば、どんどん新しいことに挑戦する企業になっていけるのかなと思っています。個人的にも、事業部の垣根を越えてこれまで見えていなかったやり方を学び、自分の成長につなげていきたいですね。

沖田 : 自由な発想だけで開発を進めていくのは難しく、思い切ってトライしようという気持ちになれない部分も。様々な制約があるなかで、無難なものばかり選択してしまいがちです。今回のイベントに参加することで、難しいけど本当に必要なことを選択できるよう、意識を変えていければと思っています。個人的には、他の課の製品をやりたいなんて考えている長谷川の話を聞いて、衝撃を受けているところです(笑)。そういう考えを持っていなかったので、自分自身の気付きにもつながりました。

吉沢 : このプロジェクトに関わるようになって、長谷川の話を聞き、“なんて自分はちっぽけな存在だったのだろう”と。すでに長谷川は個人で複数のアイデアをエントリーしており、普段からいろんなことを考えていることが分かりました。正直、マインドが違うと痛感しており、私もそうあるべきだと今は思っています。私も含め、御用聞きのような仕事の進め方をしていた人もいると思うので、そんな人たちにこそエントリーしてもらえるようなことを考えて、より盛り上げていきたいですね。

春日 : 私は入社してからずっとコネクタ以外の事業に関わっており、他のメンバーと比べても変わった立ち位置にいることを自覚しています。特に新規事業はリソース配分に慎重にならざるを得ませんが、今回の企画はコネクタ以外のアイデアでもいいため、私にとってみれば格好の舞台と言えます。ヒロセの中でもこんなことをやっている、こんなことができる人がいる、ということを多くの人に知ってもらい、「面白いね!」と言ってもらえるような場にしたいと考えています。まさに千載一遇のチャンスです。

「ゼロイチ祭り」は、社内初のイベントで、第一回目の今回は技術本部が中心になって進めている。この第一回が成功すれば、他の部門を巻き込んでいき、そして全国、さらにはグローバルなグループ全体でのイベントにまで成長させていきたいとメンバーは野望を語っている。なお、具体的な演出はまだこれからのようだが、祭り情緒にあったイベント運営を目指しているという。イベント終了後には大規模な宴会も開催したいとメンバーは意気込んでいる。

最後に、とにかくどんなアイデアでもエントリーして欲しいとのこと。「ちゃんとしたものでないと出せない、というイベントにはしたくない。できる限りハードルを下げていきますので、どしどしエントリーをお待ちしています。うまくいかない方が勉強になるのは間違いありませんから」と“ミスターゼロイチ”こと長谷川は熱く語り、インタビューを締めくくった。