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押さえておきたいコネクタの基本解説!コネクタの役割と設計時に注意すること

コネクタとは?、コネクターって何?という疑問から、コネクタを使った製品実装の重要なポイントといったちょっと専門的な所まで、コネクター専業メーカーの老舗ヒロセ電機がご説明していく連載記事「押さえておきたいコネクタの基本解説!」。第1回は「コネクタの役割と設計時に注意すること」です。

実は身近なコネクターですが、普段の生活ではあまり意識する機会は少ないかもしれません。でも、もしコネクタが無かったら…掃除機やドライヤーが壁に直接つながっている…なんて状態はとっても不便ですよね。身の回りのコンセントだけではなく、電気が通る製品は大きい物から小さな製品まで、とても幅広くコネクタは使用されています。

コネクタの需要拡大の歴史

今や幅広く利用されているコネクターですが、いったいいつ頃からそんなに広く使われるようになったのでしょうか?コネクタの需要が拡大したのは、1940年代の第二次世界大戦時だと言われています。

それまでは、電線をからげて(金属に電線を巻き付けるなどして固着力を高める)はんだ付けしたり、電線を直接ねじで止めたりしていました。しかし一刻を争う現地で、機材や機器を効率よく組み立てたり生産したりするために、一括接続できるコネクタは必須となり、一気に需要が高まったのです。

<初期の電気接続> 1本、1本を接続

<初期の電気接続> 1本、1本を接続

<1940年代> 現地で素早く一括接続

<1940年代> 現地で素早く一括接続

コネクタの使用用途の広がり

素早く、一気に接続を可能にするコネクターですが、機器と機器の接続を簡単にするという役割だけではなく、今や様々な用途で利用されています。

(1) 異なる機器間を接続する

(1) 異なる機器間を接続する

パソコンにハードディスクなどを接続して機能を追加したり、放送中継車で車内の機器とアンテナをつなぐなど違う機器を瞬時に接続・切断をコネクタが可能にしています。

(2) 機器設計の自由度が向上

(2) 機器設計の自由度を向上させる

コネクタを間に挟むことで、機器の中のレイアウトの選択肢が広がります。基板を立てて配置したり、基板を重ねたり、逆に基板を離したりする場合も、間を取り持つのがコネクターです。

(3) 組立の利便性を図る

(3) 組立の利便性を図る

組み立てのライン作業では膨大な数の部品を組み立てていく必要があります。様々な企業の部品をコネクタで接続することで、ライン作業が手早く簡便になります。

(4)メモリーなど増設/交換を可能にする

(4)メモリーなど増設/交換を可能にする

パソコンなどのメモリーを指すだけで増設できるようにしたり、壊れたパーツのみを交換して修理できるのもコネクタによって接続しているためです。

このように、コネクタの用途は多岐にわたるので、私たちの身の回りはコネクタであふれています。

スマートフォンを例にすれば、インターフェイスコネクタや内部接続コネクタ、同軸コネクタなどが1つのスマートフォンの中に数十個も使われています。ワイヤレスイヤフォン、電子タバコにも超小型のコネクタが使われています。

他にもご家庭で利用する機器だけでなく、自動車、電車、送電所、発電所や工場や工場の中で働くロボットなど社会のいたるところで、コネクタは活用されています。

コネクタの技術 (コネクタの役割)

コネクタの役割とは何でしょう?コネクタには様々な用途がありますが、共通して求められる役割は「電気を正しく伝送すること」です。電力が伝わらず電圧降下が発生したり、信号の並びが変化したりしては、コネクタを使う意味がなくなります。また、電気や信号は目に見えないので、計測器を使用して計測しないと…となるともはや邪魔者になってしまいます。

「電気を正しく伝送すること」、これがコネクタの一番の役割であり、「設計や生産時に注意するべきこと」でもあります。

誤った設計によるNG例

NG例。電力が伝わらない。信号の並びが正しく伝わらない。

電気を正しく伝送するために…

電気を正しく伝送するには「3つの接続部」が重要です。(1)ケーブルとコネクタの端子の接続部、(2)基板とコネクタの端子の接続部、(3)コネクタ同士の接触部、この3つは製造工程の順序としても1~3の順番なので、ひとつずつ解説していきます。

(1) ケーブル結線部、(2) 基板実装部(はんだ付け部)、(3) 接触部

次回からは、この3つの「電気を正しく伝送するための接続キーポイント」を順番に詳しくご紹介いたします。

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