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“現場ではシンプルにつなぐだけ”という発想で、施工プロセスを簡略化 ~トルク管理も不要のゼロスクリュー™端子台~
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分電盤や配電盤、キュービクルにゼロスクリュー™端子台EF2シリーズを導入
鹿島建設株式会社 水井 寛氏

超高層ビルや商業施設に必要な建築技術をはじめ、ダムや架橋などの建設に欠かせない土木技術、環境保全/地震災害対策技術など、各分野の高度な技術力を駆使してさまざまな建築物を手掛ける鹿島建設株式会社。
同社では建設現場での省力化や新たな担い手確保に向けた施策の一環として、ヒロセ電機株式会社の『ゼロスクリュー™端子台 EF2 シリーズ』を採用した。その経緯を、鹿島建設株式会社 東京建築支店 副所長 水井 寛氏へ伺った。

導入経緯 “現場ではシンプルにつなぐだけ”の仕組みを求めて

1840年に創業し、「100年をつくる会社」をコーポレートメッセージに掲げる鹿島建設株式会社。高度な技術力が要求される超高層ビルをはじめ、鉄道やダム、架橋といった土木分野のプロジェクト、オフィスや商業施設、学校、医療施設といった幅広い建築物など、スーパーゼネコンの1社として数多くの大規模プロジェクトを手掛けている。

同社ではモノづくりの担い手確保とともに、2000年初期から効率の良い施工プロセスの確立、技術開発を加速させてきた。「少子高齢化による働き手の減少といった社会の変化に対応できるよう、品質を確保しながら少ない労力で効率良く建築する仕組み作りを進めてきました」と水井氏は語る。

その仕組みの一つがマンション建設の作業効率向上を目的とした、分電盤への接続作業の改良だった。「マンション共用部は分電盤スペースが最小限に抑えられているため、狭いシャフト内での接続には手間が掛かります。そこで分電盤内の接続をあらかじめ工場で実施し、現場ではコネクタによる接続だけで良いように作業を見直しました」。その後のプロジェクトでも、“現場ではシンプルにつなぐだけ”という発想を広げ、積極的に展示会へ足を運ぶなどしてさまざまな電気工事に応用できる技術を探し続けてきた。

選定ポイント 既存の丸形圧着端子が使え、かつ、増し締め不要な点を評価

選定ポイント:既存の丸形圧着端子が使え、かつ、増し締め不要な点を評価

そして出会ったのが、ヒロセ電機の『ゼロスクリュー™端子台EF2シリーズ(以下、EF2)』だった。「当時、私は鹿島建設の東京土木建築支店(以下KTビル)の建て替えプロジェクトで設備工事部門の責任者という立場でした。このプロジェクトは社内事業であり、新たな生産技術の向上を命題として与えられていました。その取り組みの一環としてヒントを探しに行った展示会で見かけた製品がEF2の試作品でした。当時、電気接続をねじ締めではなくバネを利用するコンセプトが施工プロセスを変えられるのではないかと考え興味が湧きました。そこで、ぜひ試してみようと思い立ったのです」。このプロジェクトでは合理化に関連する最新技術を活用できる場でもあったため、新たなコネクタを利用するには絶好の機会だったのだ。

水井氏は初めてEF2を見たとき、一般的な電設資材である丸型圧着端子が挿し込める点に魅力を感じた。「特殊な形状の端子ではメンテナンスも含めて不安が付きまといますが、使い慣れた丸形圧着端子が使える端子台であれば、経験豊富な電気工事士にも受け入れてもらいやすいと感じたのです」と語る。

ゼロスクリュー™端子台 EF2シリーズ

また、ねじの増し締めが不要である点を高く評価する。「EF2は常に同じ圧力がかかるバネにより、丸形圧着端子を押さえ付ける構造。ねじ締めの場合に欠かせないトルク管理自体が不要でありバネは35年対応です。製品として一定の品質が保証された状態で使えるので安心です」と評価する。

結果的にKTビルで導入したEF2が2年を経過して安定稼働しており、別のプロジェクトへ小規模で導入したものも問題ないことから、新たな大規模開発プロジェクトでEF2を大々的に展開したいと考えたという。

運用と評価 現場では挿し込むだけ。プロセスを簡略化

ゼロスクリュー™端子台 EF2シリーズ

KTビルを含めた複数の建物へ導入したのを契機に、現在は水井氏が関わる都心の大型プロジェクトでメンテナンスなどの有効性を事業主に理解していただき受変電設備や分電盤、動力盤などへの採用を決定した。キュービクル(変電設備)から分電盤や配電盤に展開する幹線経路となる一次側と二次側にEF2が採用され、一次側だけでも400個を超えるEF2が展開されることになった。

今回EF2を採用したことで接続処理というプロセスの簡略化が期待されている。一般的には、幹線の接続後の受電前に端子の増し締めを行いその後、試運転で電気を利用してから最終的に再度停電させ、あらためて締め直しを行う。「電気が流れると熱を持つのでねじには緩みが生じることも。事故防止に増し締めを何度か行いますが、EF2では常時、圧力で端子を固定しているので緩みが発生せず、この作業自体が不要になります」と水井氏は説明する。竣工後も年次点検でねじを締め上げる必要がなくなり、さらに、ねじの緩みから発生する火災事故のリスク軽減にもつながるという。

また、加工は盤工場で行い、現場ではEF2に丸形圧着端子を挿し込むだけの作業プロセスに変えたことで、端材などのごみが現場で発生しなくなる。「現場で被覆を剥いで端子を圧着する場合、当然ごみは産業廃棄物になります。場外で事前に加工を行えば、建設廃棄物排出の抑制につながるのです」と水井氏は評価する。

モノづくりの担い手を育成する魅力ある現場づくりという視点でもEF2は効果があるという。「電気工事の分野では資格がないと携われない作業が多いですが、資格取得するまでの下積み期間で嫌気がさしてしまう人も。次世代の担い手育成につながるよう、スキル向上段階でも配線接続をする作業に積極的に携われ物を造る楽しみを得る環境づくりに、EF2が一役買ってくれることでしょう」と水井氏は期待を寄せている。

今後 現場から“締める作業”がなくなることを目指して

最後に水井氏は「いまや家電製品には端子なんかありません。映像・音声・制御信号線も一本のケーブルで接続できる。パソコンの内部もコネクタ接続。電気工事の中からビスを締めるという作業が一切なくなれば、生産性が向上し、少ない人員で多くの仕事をより良い品質で造り込める。みんな幸せになるはず。そんな環境に一歩でも近づくよう、ヒロセ電機には現場へ足を運んで建設業界とは違う視点でアイデアを出してもらい、いろいろな製品開発につなげてもらいたい」とヒロセ電機に対しての期待を語っていただいた。

(2018年6月取材)

ゼロスクリュー™端子台 EF2シリーズ

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