ヒロセ電機の高周波同軸コネクタの開発哲学とは?

ヒロセ電機の高周波同軸コネクタの開発哲学とは?、車載用コネクタ

当社の高周波同軸コネクタは、設計ノウハウとデータ伝送品質の高さが特長で、広範囲な分野でご採用いただいています。例えば、携帯電話の基地局や測定器の分野で高周波伝送用としてご利用いただくなど、それぞれの市場で高い評価をいただいています。近年、自動車分野では、コネクテッドカーや自動運転の進展によって高周波データ伝送の用途が拡大し、同軸コネクタの重要性が増しています。そこで、民生や産業機器分野で培った高周波設計ノウハウを自動車分野で活用し、車載向け同軸コネクタの開発を推進しています。

隙間なくノイズが漏れにくい当社の同軸コネクタ。
車載カメラ分野での期待とニーズ

今後、映像伝送用途の車載コネクタ市場では、「自動運転」や「走行安全」を実現するために、4K、8K対応カメラを搭載するアプリケーションの急増が予想されています。つまり、車載コネクタのデータ伝送品質の向上が求められるということです。さらに、アナログからデジタルへの変化に伴い、高解像度化・高フレームレート化といった要求があり、高周波伝送技術への信頼性確保が重要視されています。

当社の産業機器分野での同軸コネクタは、切削工法の採用によって隙間なくノイズが漏れにくい構造をとっており、高周波データでは高い高周波特性を保っています。一方、車載用の同軸コネクタでは、お客さまがケーブル結線などで取り扱いやすいようプレス加工を採用するケースが多く、隙間ができやすい構造になります。そこで、この隙間を限りなく無くす構造を研究し、プレス加工による高周波性能とノイズ耐性を持ったコネクタの研究、開発を進めてきました。25年あまりに渡って車載アンテナ用同軸コネクタを作ってきた歴史があり、最近では、ルーフアンテナ部分の統合アンテナ用同軸コネクタの市場実績を持ったことから、自動車関連メーカーさまから多数の案件をいただいています。お客さまの伝送品質向上に貢献する同軸コネクタを提供し、期待に応えたいと考えています。

お客さまの開発スピードと生産品質の向上のために

ノイズの実測とシミュレーション結果を比較評価するコリレーション技術

当社では、電波暗室とシールドルームを社内に設置することで、ノイズの実測を迅速に行い、耐性の評価ができる体制を整えました。電磁界解析のシミュレーション結果との比較検討が行えるようになり、構想設計段階からノイズ耐性構造の見極めができるようになりました。このコリレーション技術を活用することにより、試作と測定を物理的に繰り返して設計検討する従来の方法から脱却し、開発リードタイムの大幅な短縮と、お客さまへの品質を確保した上での迅速な製品提供を目指しています。

ノイズの実測とシミュレーション結果を比較評価するコリレーション技術、車載用コネクタ

一括圧着結線

一括圧着結線、車載用コネクタ

一括圧着結線とは、導体部と編組シールド部、ジャケット部の3カ所を一度に圧着して結合する当社独自の技術です。従来の同軸結線に対して、加工工数を大幅に削減でき、お客さまの生産性向上に貢献します。

お客さまにとって明確なメリットを3つ込める

お客さまにとって明確なメリットを3つ込める、車載用コネクタ

当社の技術者は差異化意識が高く、市場投入するコネクタは、お客さまにとって明確なメリットを最低3つ込めることを絶対条件としています。車載同軸コネクタでは、上記の一括圧着結線技術による工数削減や、コネクタの小型化による車体の軽量化、ノイズが出づらい構造によるデータ品質の確保といったメリットを込めて製品の企画、開発しています。今後、車載用途ではヘッドアップディスプレイや、リアシートエンターテインメントとしての4K映像、第5世代移動通信、WiFi/Bluetooth、ETC2.0、WiGigなどの拡大が予測されます。すでに、次世代放送規格としての8K映像機器にも採用されるなど、先行分野での技術開発を推進しています。また、インダストリー4.0を見据えて工場内イーサネットLANの次世代規格であるix規格のコネクタを製品化し、伝送速度10Gbpsをメタルで実現しています。このような次世代技術を応用して車載への展開にも果敢に挑み、お客さまにとって価値ある製品を提供したいと考えています。

プラスアルファの志向

当社では、高周波同軸コネクタ分野においてプラスアルファの志向を持っています。具体的には、データの伝送品質を向上させるためのコネクタレイアウトに合わせた基板設計のコツ、要求品質を実現するためのコネクタ結線方法ガイドラインの提供など、数々の情報を準備することで設計プロセス上でのお客さまサポートを強化していきます。