高速伝送とフローティング量の二律背反の解決
産業機械やロボットの進化に寄与する”つなぐ技術”の充実

産業機械のあらゆるニーズに最大の機能で応えることをミッションに、ヒロセ電機が世界に送り出している基板間接続コネクタファミリーFunctionMAX™。1970年代から開発を始め、以降、電気電子機械、産業機械等、幅広いメーカー様からのご要望に応え、創意工夫と新たな技術の実装を実現してきました。近年では、フローティングと高速伝送対応をテーマの二本柱とした開発に注力。FunctionMAX™は、限界無き最高峰の機能に挑戦しています。
産業機械に組み込まれた基板間接続コネクタの課題を解き
IoTによるつながる工場に寄与

産業機械やロボットの基板間接続コネクタにおいて、嵌合軸のズレや筐体の位置ズレを吸収するフローティング機能は欠かせません。同時に、IoTやIndustry 4.0の技術を使った工場革新の流れがあります。これによって、大容量のデータを流すための高速伝送対応がますます求められています。
0.5mmピッチのコネクタにおいて世界最大のフローティング量
±0.6mmのコネクタの開発に成功
フローティング機能とは、一つの基板に複数のコネクタを実装する場合やロボットで基板間を接続する場合に発生する嵌合軸のズレや実装の位置ズレを吸収する機能のことです。フローティング機能がないコネクタを利用し、ズレが生じていると嵌合時にコネクタが壊れ、嵌合した後であっても実装部にかかる機械的ストレスにより経年的にはんだにクラックが入るリスクがあります。そのため、産機市場ではコネクタのフローティング機能は欠かせない存在です。
近年、小型化、狭ピッチ化が進んでいる産業機械向けの基板間接続コネクタの多くは、最大フローティング量が±0.5mmです。一方、産業機械向けの基板間接続コネクタの開発に長年取り組んできたヒロセは、どの競合他社にも負けない最高峰のコネクタを目指し、最大フローティング量±0.6mmのコネクタを開発しました。これは0.5mmピッチのコネクタで世界最大のフローティング量です。

車載向け品質、通信向け伝送技術、シリコンバレーの専門チームによる
解析力。総合力で高速伝送とフローティング量の二律背反を解決

ヒロセは近い将来、産業機械業界で求められる高速伝送のニーズを見越して、10Gbpsの高速伝送特性とフローティング機能を両立するコネクタの開発に取り組みました。ところが、問題がありました。まず、フローティングを生み出すには端子の形状を複雑化する必要があります。端子にばね力を持たせるため、曲げ部分を設けなければならず樹脂と端子の間に大きな空間ができてしまいます。その場合、差動インピーダンスであれば100Ωに整合するのが難しく、特性が変わるため高速伝送特性とは相反します。
そこで、フローティング量と高速伝送特性の両立を目指し、厳しい車載スペックに適応する自動車向けコネクタの品質と、 5G基地局にも採用される通信向けコネクタの伝送技術を応用しました。この技術開発には、当社のアメリカ、シリコンバレーにある高速伝送の技術部隊が参画しています。社内で試行錯誤を重ねることで、開発と解析の実測の整合を短期間で取得することができました。それにより、フローティングと10Gbpsの高速伝送の両立を実現することに成功しました。
シールド、2点接点、電源端子付きなど、今後は「最高峰」に付加価値を
IoT、Industry 4.0が浸透し、急速に“つながる工場”が進む中、産業機械業界では、近年5Gbpsから10Gbps伝送に対するニーズが出てきており、高速伝送のご要望はますます高まるばかりです。現在、ヒロセは10Gbpsよりも高速なコネクタの開発計画や、世界初のフローティングカードエッジコネクタの開発、自動車内部向けのフローティング耐振、耐熱コネクタの開発を進めています。国内から始まり海外でも急速に高まるフローティング機能のニーズに対し、今後より一層、充実していきます。また、高速やフローティングのみならず、シールド、2点接点、電源端子付きなどの最大機能で応えるため新たな価値創造に挑んでまいります。
FunctionMAX™ 特集ページ
FunctionMAX™は、その名が示すとおり、産業機器のあらゆるニーズに最大の機能で応えることをミッションに、ヒロセ電機が世界に送り出している基板対基板用コネクタファミリーです。