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ヒロセ通信

CES Innovation Awardsにて2冠達成!part.2

part.1では、CESという展示会でヒロセ電機のコネクタが賞を受賞したことと、そのうちの1製品BM46シリーズについてご説明しています。
今回は、もう一つの受賞製品FX26シリーズについて、お話したいと思います。

■受賞製品 FX26シリーズ



この製品は“Vehicle Intelligence & Transportation Category”(輸送・交通サービスに関連するカテゴリー)部門で受賞しました。受賞部門のタイトル通り、このFX26シリーズという製品は自動車向けのコネクタです。part.1でご説明したモバイル部門で受賞のBM46シリーズと同じく、FX26シリーズも基板同士を接続する基板対基板コネクタです。自動車も電装化や自動化が進んでおり、自動車に使われる電子部品の数が増加しています。それに伴い車載基板も増えています。パワートレイン(自動車の動力源)内部の基板同士は、多くの場合ケーブルとコネクタで接続されています。基板対基板コネクタを使用することで、省スペース化が進められます。また、ケーブルで接続する場合は、コネクタを基板に取り付け、そのコネクタにケーブルを接続する必要がありました。基板対基板コネクタを使用すると、基板に接着したコネクタをはめるだけで簡単に接続でき、作業効率の向上、コストダウンにつながります。




―FX26シリーズ すごいポイント!―

(1) ズレを吸収!フローティングコネクタ

「フローティングするコネクタ」とは、一体どのような機能を持ったコネクタでしょうか。英語のフロート(float)は「浮く」という意味がありますが、フローティングコネクタ自体はもちろん宙に浮いているわけではありません。コネクタは基板の決まった位置に固定され、コネクタ同士が正確に接続されていなければ、正しく電気・信号を伝達するという役割を果たせません。しかし、プリント基板もコネクタも全ての部品が、毎回設計された通りの高さ・大きさに正確に作れるかというと、どうしても公差と呼ばれる誤差が出てしまいます。一つひとつの公差は非常に小さいものですが、コネクタや基板などそれぞれの公差が累積すると大きいものになることもあります。例えば下図のように1枚の基板に2つコネクタを使用したい際に、Bのコネクタと基板の取り付け位置に公差が発生したとします。Aのコネクタがきちんと接続されてもBのコネクタは位置ズレのため接続できず接触不良が起きる、という可能性があります。



そのため、基本的には1つの基板には1組のコネクタしか使用することができませんでした。フローティングコネクタの構造は、外側のケースは基板上に固定され動くことはありませんが、中の端子は固定されておらず、左右に動くことができるというものです。本来レセプタクル端子とヘッダー端子の軸がズレている場合、端子同士をきちんと接続することはできません。フローティング機能がある場合、レセプタクル端子がヘッダー端子の軸に合わせて左右に動き、ズレをコネクタ側で吸収し、常に正しく接続できます。この機能により、ある程度の公差があっても、一つの基板上に複数組のコネクタを取り付けられるようになります。



また、自動車の動力部分は常に激しい振動にさらされています。コネクタの接点が揺れるたびにこすれると削れたカスが酸化し、接点に溜まることがあります。これにより電気や信号が正しく伝わらない接触不良が発生します。



フローティングコネクタはある程度可動するので、この揺れを吸収することができます。これが接点部の接触不良の解決につながります。

(2) 自動車の過酷な環境下にも対応!耐熱性と免震構造!

このFX26シリーズは、特にインバーターなどの自動車の振動部分での使用を目指した構造となっています。自動車の場合、エンジンルーム付近はかなり高温となります。通常、コネクタの端子は、接続後に簡単に接続部分が離れないよう、樹脂とバネ性を持ったレセプタクル端子(ジャック)でプラグ端子を挟むような構造となっています。しかし高温環境で使用する場合、樹脂だともちろん溶ける危険性があります。通常の金属も高温下で使用しているうちにバネ性がなくなり、接触不良が発生しやすくなる可能性があります。そこで、これまでのものと金属材料を変え、このバネ性がへたらない作りを実現しています。さらにバネ性を持った接続で、より端子を抑える力が強くなっています。こうした工夫により、高温の使用環境下においても、きちんと接続し続けることができるのです。


さらに自動車には、振動という大きな課題が存在します。特に駆動部分であるモーターやインバーターは、自動車の稼働中は常に振動しています。人の命を乗せている自動車で接触不良が起きてしまっては大事故につながりかねません。そこで、フローティング構造に加え、振動しても接点部が削れることが無いような免震構造を実現しています。厳しい振動試験の基準にもクリアしています。

このように自動車に使用されるコネクタは、高い性能だけでなく、耐震性や耐熱性、さらに接触不良が発生しないような構造にするなど、とても多くの技術を求められます。人々の生活をより便利にし、さらに安全・安心な社会のために、これからも高性能・高品質のコネクタの開発を進めていきます。

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