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JSIA113「キャビネット形動力制御盤」に「ねじなし端子」が追加。 主回路にも制御回路にも使用できるゼロスクリュー™端子台EF2シリーズが”省力化”に貢献
2020年3月、JSIA113に「ねじなし端子」の記載が追加され、動力制御盤回路で使用可能となる。業界全体でもねじを使わないゼロスクリュー™端子台EF2シリーズの利用が促進されつつある。

 配電制御システムに関連する規格・基準の制定をはじめ、耐熱形配電盤類の型式認定など様々な事業を行う一般社団法人日本配電制御システム工業会(通称、JSIA)は、2020年3月に、JSIAの規格であるJSIA113「キャビネット形動力制御盤」に「ねじなし端子」の項目を追加し改定した。その経緯を一般社団法人日本配電制御システム工業会技術部長の木賊勝信(とくさ かつのぶ)氏と技術委員長の戸村雅義(とむら まさよし)氏に伺った。

 配電制御システムに関連する規格・基準の制定をはじめ、耐熱形配電盤類の型式認定など様々な事業を行う一般社団法人日本配電制御システム工業会(通称、JSIA)は、2020年3月に、JSIAの規格であるJSIA113「キャビネット形動力制御盤」に「ねじなし端子」の項目を追加し改定した。その経緯を一般社団法人日本配電制御システム工業会技術部長の木賊勝信(とくさ かつのぶ)氏と技術委員長の戸村雅義(とむら まさよし)氏に伺った。

一般社団法人日本配電制御システム工業会  木賊 勝信氏(左)と戸村 雅義氏(右)

一般社団法人日本配電制御システム工業会

木賊 勝信氏(左)と戸村 雅義氏(右)

■ 改定経緯
増加する端子の種類の明確化

 電機関連メーカーの団体として最も会員数が多い団体の一つである日本配電制御システム工業会は、規格や技術資料などを制定するための委員会活動、様々な認定事業、資格試験や講習会などの活動を通じ、業界の発展と国民生活の安全の確保に寄与している。

 同工業会が1983年に制定した規格であるJSIA113「キャビネット形動力制御盤」はキャビネット形動力制御盤の製品規格で、国土交通省制定の公共建築工事標準仕様書の電気設備工事編に引用されている。この仕様書が3年に1度改定されるタイミングに合わせてJSIA113の内容も今回改定され、従来よりも一層充実した内容になったという。

■ 改定ポイント
端子の名称を明確化し現場の混乱を解消

 「今回の改定のポイントは、端子とその名称、制御盤の配線に使用する端子の明確化です。」と語るのはJSIA技術部長の木賊氏だ。従来のJSIA113では、端子の種類を「差込形端子」「圧着端子」と大きく2種類に分類して記載していた。ここで言う「差込形端子」はピラー端子のことを示しており、ねじを必要とする端子である。しかし、この「差込形端子」が近年よく使用されるようになった、ねじを使わない「プッシュイン端子」や「ねじなし端子」と混同されるケースが増加していたという。すべて差し込むような接続動作であるため、ねじを使わない端子を「差込端子」と呼ぶ作業者が増えたのだ。「これらの端子の呼び方の認識が人によって異なり、現場で混乱を招いていたのでJSIA113でより明確に定義する必要があると考えました。」と木賊氏は話す。

 そして2020年3月にJSIA113が改定され、端子の分類がより明確かつ詳細になった。「我々は今回のJSIA113の改定にあたって「ねじなし端子」「ねじ式端子」の記述を追加することにしました。端子の分類と名称をより明確にすることで、現場にとってわかりやすい規格にしました。」と木賊氏は話す。「ねじを使用しない端子が俗称的に「差込端子」と呼ばれるようになってきていたため、これを「ねじなし端子」と定義することにした。」と戸村氏は話す。今回の改定では、従来「差込形端子」と定義していたものを「ねじ式端子」に見直し、ねじを使用しない端子を「ねじなし端子」として新たに追加した。

 また、動力制御盤の回路配線に使用する端子についても明確にした。端子には主回路に電線を接続するための端子と制御回路に接続するための端子の2種類がある。一般的に大きい電流容量を必要とする主回路には大型の端子台を、制御回路には小型のものを用いる。従来のJSIA113では、回路配線には「ねじ締その他同等以上の方法」を用いるよう記載されていたが、今回の改定で「ねじなし端子」の使用も明記された。「今回の改定では、新たにJSIA113に記載した「ねじなし端子」を主回路と制御回路のどちらにも使用できるように明確にしました。」と木賊氏は話す。

■ 「ねじなし端子」ゼロスクリュー™EF2シリーズへの評価
作業工数とメンテナンス工数の削減に寄与

 ヒロセ電機のゼロスクリュー™端子台EF2シリーズは、JSIA113の「ねじなし端子」に分類されるもので、日本産業規格であるJIS C8201-7-1「低圧開閉装置及び制御装置 第7部:補助装置 第1節:銅導体用端子台」と一般社団法人日本電気制御機器工業会が定めるNECA C2811「工業用端子台」に準拠して設計されている。また、電流や電線サイズ別に様々なバリエーションをそろえているため、制御盤の主回路と制御回路の両方の用途で使用可能だ。「ヒロセ電機のEF2はJISとNECAの両規格にしっかり準拠した形で製品化されているので、主回路、制御回路ともに問題なく使用可能な製品です。」と木賊氏は話す。

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 EF2シリーズ最大の特長はねじを使わずに接続作業が完了する点だ。従来のねじを使用する端子の場合、トルク管理など熟練した作業が必要だったがEF2ではそれが不要である。「特に電気知識がない方でも作業方法を守れば安全かつ確実に接続できるのが大きなポイント」と木賊氏。「作業性の良さに加えてもう一つ大きなメリットは、通常の端子だと1年に1回程度はねじの増し締め作業が必要になるが、EF2の場合は緩む心配がないのでメンテナンス工数が削減できる。これは非常に大きいです。」と戸村氏は評価する。

ゼロスクリュー™端子台EF2シリーズ

■ 今後
製品開発にプラスアルファの価値を期待

 「今回のJSIA113改定と、EF2の良好な作業性や革新的な技術により、今後EF2のような「ねじなし端子」の普及がかなり進むと予想しています。」と木賊氏は話す。「今は人手不足解消に加えて工期短縮が求められています。これを解決するのが省力化です。」と戸村氏。ヒロセ電機に対しては、今後も製品性能プラスアルファの付加価値のある製品開発を期待しているという。「我々工業会としては省力化と容易な扱い方だけでなく、今後は地震や水害、火災などの災害を感知できるような盤の実現も含めて様々に検討していきたいと考えています。会員の皆様がより作りやすい、またはより親しみやすい技術的な取りまとめを行いたい。」と木賊氏は最後に締めくくった。

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